「もうすぐまた帰っちゃうんだよね。帰っちゃう?行っちゃうんだよね。でも日本か
ら行って戻ってきたんだからやっぱり今はお帰りだよね。お帰りなさい。」
御導師・日堯上人はそう言って下さいました。
イギリスから2年ぶりに一時帰国した時。あと数日でまたイギリスに向かうという
日でしたが、『お帰りなさい。』と言っていただき、とても嬉しかったことを思いだ
します。
「ちょこっと押せばメールは送れるんだけどね。なかなかね、簡単だと思うんだけ
どね、由里子がメール送れなくてごめんね。」
ひょんなことからイギリスの様子や写真などを由里子奥様にもお送りすることとな
り、日堯上人のメールアドレスに送らせていただいていました。
由里子奥様からも
「返信できないけどね、楽しみにしているからね。」
と、これらのお言葉に甘えて…
今もメールアドレスはそのままです。
日堯上人が心筋梗塞で倒れられ、一命を取り留められた時のことを
「ミラクルが起きたんだよ。旦那さんにもよく言っておいてね。」
と話され、私だけお寺に来ているとハッとした事、私はまだまだだなぁと思った
事、つい最近のようです。
令和2年7月の開導会、前日も当日も中庭に近い階段下で日堯上人と鉢合わせに
なってしまいました。二回目の時は私が幅のある物を持っていてどなたかが階段を
下りてこられる気配がし、日堯上人だと気が付いてすれ違うのは失礼だし狭いと思
い、
「お導師すみません、今降りるので少しお待ちください!」
と声をかけ、階段下まで降りていると
「大丈夫だって、通れるって、そんなに大きくないから!!」
と言って下さり、そして
「また会ったね。『大きな木の下で』じゃなくて、『大きな階段の下で』だね。」
と話され、二人で笑ってしまいました。
翌月の甲の御講席、本堂脇でお迎えをしていると『いったいどこからお見えになっ
たのだろう?』と思うくらいお疲れのご様子で階段を上がってこられ、一瞬冗談で
言おうとした言葉も引っ込んでしまいました。
そして10月20日。心にぽっかり穴が開いてしまいました。
お役に立てるご奉公をさせていただけたのか、良くわかりません。ですので、
精一杯報恩御奉公をさせてただきたいと思います。
日堯上人、ありがとうございました。
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